気候、天気と服装

 緯度が高いわりに暖かいというのは、グラスゴーに限らず、スコットランドの気候を語るとき、よく使われる表現です。これはメキシコ湾流という暖流のおかげです。

 首都エジンバラやグラスゴーの緯度は、北緯約56度。日本の北海道よりはるか北にあたり、モスクワとほぼ同じ緯度にあたります。スコットランド全体で言えば、北緯54度から61度の間に位置しています。北極圏は北緯66度33分ですから、北端のシェットランド諸島は、もう北極圏も間近というところです。

 そのわりには真冬でも厳寒というわけではなく、雪もそれほど降らないといいます。例えばグラスゴーの平均気温は、夏場(7〜8月)は10〜20℃、冬場(1〜2月)は1〜7℃です(mnsホームページより)。

  私は冬に行ったことはないのですが、このデータから見る限り、冬場は日本の本州の冬の備えで十分に対応できそうです。

気をつけるのは夏場

 気をつけなくてはいけないのは、かえって夏場だと思います。夏場の最低気温10度というと、大阪では3月くらいにあたる気温です。

 私はまさに7月から8月にかけて滞在したのですが、その寒さには本当に驚きました。 天気はいつもぱっとせず、空には雲がたれこめていて、軽い雨がしょっちゅう降ったり止んだりしています。それなのに空気は湿気ていません。気温が低いせいでしょう。さらに冷たい風が吹きつけてくると、冷たさで耳が痛くなるほどです。このテンションの上がらない感じ、伝わりますでしょうか。

 ところが雲が切れて日が射すと、とたんに暑くなります。湿気が少ない分、日差しがシャープに感じられます。ちょうど日本のゴールデンウィークの頃の気候と似ています。そうすると今度は、ちょっと日を避けたいくらい暑いのです。

 今回、スコットランドでの日記を読み返してみると、第一声が「グラスゴーは食えない」から始まっていました。我ながら、なかなかうまいこと言ったものです。本当に、お天気ひとつとってみても、なかなか食えない街です。

 日本から薄手のセーターを1枚持っていってはいたのですが、この寒さには、それではとても太刀打ちできませんでした。暑い日本から行くので、よけい体が慣れていないというのもあったと思います。

  結局、向こうで大家さん兼友人のルイーズに厚手のフリースを借り、家の中ではずっとそれを着ていました。夕方から夜にかけて公園にお芝居を見に行ったときは、冬用のツイードのコートを借りたこともあります。現地の人にしてみたらそれはありえない厚着で、ひどく笑われましたが、私はそれだけ着てもガタガタ震えるくらいでした。

 夏場に行かれる方は、夏用の防寒対策をしっかりする必要があります。一番快適なのは、日本の秋物くらいのしっかりしたジャケットの中に、タンクトップやTシャツを着るというスタイルだと思います。これならしっかり防寒ができ、暑くなったら脱げます。ジャケットは、冷たい風をよけられる、アウトドア用のジャケットのようなものも適していると思います。

 服は現地で調達することもできます。街の中心地にはショップが並び、大きなショッピングセンターやデパートもあります。セーターやアウトドア用のジャケットは、真夏でも売っています。

 グラスゴーにいた当時は、毎日晴れてほしいなあと思っていたのですが、今となってみれば、あのキンと冷えた街を懐かしく思います。どんよりした空の下、冷たい風に吹かれながら、雨に沈んだ街並みをまた歩きたいなと思います。

 また、青空が広がった時のスコットランドの人たちの喜びようも、とても印象に残っています。みんな上着を脱いだり、嬉しそうに外に椅子を出したりして、日を浴びていました。美白王国ニッポンから来た私から見れば「それお肌に悪いし、暑いやろ。日陰入りいな」と思うこともしばしばでしたが、ピンク色に染まった顔をまぶしそうにしかめつつ、嬉しそうにしているようすは、なんだかほほえましいものでした。

日照時間

 最後に、日本と大きく違うのが、日照時間です。

 緯度が高いため、冬の日照時間はとても短く、真冬は午前9時過ぎに太陽が出て、午後3時過ぎには日が没んでしまいます。その分、夏至のころは、午前3時過ぎに日が上り、午後11時頃まで明るいのです。私が向こうに着いた7月には、夏至から一ヶ月近く経ってはいたものの、10時頃まで空に明るさが残っていました。

 スコットランド人の友人いわく、夏至をピークに、日が長い頃が一年で一番いい時期なのだとか。でも街の人たちはわくわくしてじっとしていられなくなり、飲みに出かけたりイベントに参加したりして、いつまでも家に帰らないのだそうです。

 たった6週間の滞在だった私にとって、暮れない空はただ不思議で美しいだけでしたが、もしひと冬をスコットランドで過ごして日の短い時期を経験すれば、きっと同じ気持ちになるのでしょう。

グラスウィジャン(Glaswegian)>>

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