ハギス
数あるスコットランドの名物料理の中でも、最も有名なのがハギスです。キルトやバグパイプと並ぶスコットランドのシンボル、とさえ言われています。
渡英する前から、私が一番楽しみにしていた料理でもありました。
ハ ギスは、なかなか強烈に個性的な食べ物です。 肉や内臓を細かく刻んだものに、オート麦などを加えたものが、羊の胃袋に詰めこまれています。この時点での見た目は、黒いソーセージ。スーパーなどではこの状態で売っています。
最近ではヒツジの胃袋のかわりにビニールでパックしたものが多いようです。つまり、ハギスには、ヒツジの「モツ」が入っています。そして、食べ物らしからぬ黒っぽい色。ハギスは正直、どこかゲテモノ扱いされているように感じたのですが、その大きな理由が、この二つにあると思われます。
モツ大好き、イカスミ大好きな私は、ここはとりあえず軽くクリアです。
私がハギスを食べたい食べたいとうるさく言ったので、ある晩、ルイーズがフラットで、ハギスパーティ開いてくれました。スーパーで買ってきた、黒いソーセージ状のハギスを蒸します。時間にしておよそ1時間。蒸し上がり、ビニールを割って中身をお皿にあけたものがこれです。
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黒くぽろぽろしていて、一見、黒いチャーハンのようです。早速一口食べてみると、口いっぱいに広がる、ラムの香りとなにやら強いスパイスの香り。肉自体の味と香りもそれに負けず濃厚で、見た目と同じくらい、主張の強い味です。
ルイーズが、心配そうに聞いてくれました。
「どう?」
「うん、おいしい。おもしろい味」
「よかった。ハギスは、味は悪くないけど、見た目が悪いのよねえ」
とほっとしたような、残念なような口調で言っていました。
付け合せはこんなでした。

ハギスの右側は、カブの一種のターナップです。ごくシンプルに、茹でてつぶしてあります。これが、ハギスの定番の付け合せだとのこと。ハギスの味が強いぶん、このあっさりとしたターナップがとてもよく合っていました。
その上はグリルで焼いたソーセージとサラダ。これは別にハギスだからというわけではなく、普段からルイーズたちの夕食の定番メニューでした。ソーセージもやはり肉の味が強く、美味しいです。
ハギスを食べた感想は、「美味しいけれど、脂っこさと味の強さから、そうたくさん食べられるものではないな」、でした。特に、ヒツジ肉やモツ系のたべもの、さらにあまりスパイスの強いものが好きでない方には、ちょっと辛いかもしれません。
興味をもたれた方は、スーパーで売っているほか、パブやレストランでも食べられますので、ぜひご賞味ください。
また、スコットランドでは毎年1月25日、国民的詩人であるバーンズ(1759-1796)の誕生日を祝って、バーンズ・ナイトが催されます。その夜は、ハギスを中心にした夕食(ハギス・サパー)を食べ、バーンズが残した数々の詩の朗読に興じます。
友人のお父さんもバーンズをこよなく愛していて、バーンズ・ナイトにはハギスを前に、バーンズの詩を滔々と暗誦するのだそうです。
家族はお父さんの気がすむまで、ハギスを前にじっと待つのみとのこと。友人はため息まじりに話していましたが、ユニークであたたかいスコットランドの家庭が目に浮かび、いつかその場に参加してみたいものだなあと思いました。
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